
汽車が来るのを待つ。他に誰も居ない、駅員すら居ない待合室で、ただ虫の声を聴きながら待つ。一時間でも二時間でも、何時間でも待つ。この駅でなら待てる。
どうしようもない悲しさがある。今からではどうしようもないからだ。
救い難い苦しい後悔がある。どうして自分から切り離したのか。
だが現在の私には使命がある。それは私の命に代えても果たす。私は私の人生をこれ以上惨めなものにしてはならない。だから果たす。私の役目を果たす。私が死ぬのは、その後でいい。
(令和七年八月二十四日 函館本線黒松内駅待合室にて)
