雅峰生の手紙

私が妻や友人に宛てて書いた郵便から

手紙の過去分は順次当サイトから削除して『断章』としてまとめ、
『小説家になろう』に掲載後、 Kindle で電子書籍化しています

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誰かが自分の名をあげる為に為(な)した行為に感動出来ません。その実現の為に払った絶大な努力があっても、却ってそれは恐ろしいものの影を伸ばしている執念を感じさせます。何かをしたい、何が何でもそれをしたい。そういう欲求が誰か自分以外の人の為ではなく自分自身の為。その事が既におかしいのです。そういう事に熱中し吾を忘れる事の出来る事実からして同心出来ません。
私なら、自分一個の事に就いては、出来るか否かは別として、淡白である事をもって善しとするでしょう。そう出来ないなら出来ない自分を叱るでしょう。そんな事に必死になって御前は何がしたいのだ、と。私を正しく導く者ならば、必ず別の事に懸命になれと私を叱るでしょう。