絶対に自分自身に損傷を受けないで生きて行こうと目論んでいる馬鹿は、軈(やが)て見事に致命傷を受けます。それも誰かに、他の誰かから攻撃を受けて、その被害が自分の致命傷になるのではなく、自分がそういう方針で生きてきた正にその事実に拠って、自分自身が原因で滅ぶのです。何が何でも自分に被害が無い様に、謂うなればそれは何一つ賭けて来なかったという事なのですから。他の何ものも信用してこなかったのですから。
人間としての常識良識をもち出すまでもなく、単純に論理的に見てさえも明白でしょう。何に賭ける事もせず生きてきて、どうしてそれで自分を支えてくれるものが出来上がるのですか。そんなものは自然発生的には生まれません。何も賭けていないのに生まれてきたら、それは誰かが非常に巧妙に準備した詐欺マシーンです。生まれてこないのです、自分が何かに期待し賭けてこなかったというのならば。そんな愚かで笑い話の様な一生を送ってはなりません。人の滑稽は笑えますが自分自身の滑稽は背筋が凍るだけの話です。地道に、健全に、落ち着いて、日々種子を蒔きましょう。これだけ裏切られても猶(なお)、不作に敗けない農夫の如くに期待して。