雅峰生の手紙

私が妻や友人に宛てて書いた郵便から

手紙の過去分は順次当サイトから削除して『断章』としてまとめ、
『小説家になろう』に掲載後、 Kindle で電子書籍化しています

6784

何度も泣けば可(い)いでしょう。世の中の理不尽、自分の腑甲斐無さ、運命の厳粛、世界の非情さに。でもその後で立ち上がらなければなりません。その時にどうしても自分を支える杖が必要になります。
あなたが自分で必要だと思う杖を見出したら良いでしょう。所詮、それは他人からの助言など役にも立たぬものですから。しかし敢えて私は一言だけ言いたいと思います。その時になってからでは遅いのです。その時までに既に自分が永く探し求めてきたという歴史が必要なのです。それ無しにいきなり、誰であっても何(ど)んな風に生きてきた者でも必要なものを手に入れられる、そんな事を前提にしていてはいけません。そんな都合の良い事を考える程に馬鹿であって、どうして厳しい運命に相対(あいたい)する事が出来ますか。幼稚でも可(い)いですから普段から誠実であって下さい。私はそれしかないと思います。